『ハウス・ジャック・ビルト』のあらすじと感想(マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ラース・フォン・トリアー、サスペンス、、ネタバレ、キャスト・スタッフ、WOWOW映画)
あらすじ(WOWOWホームページより抜粋しました)
1970年代の米ワシントン州。建築家志望の独身技師ジャックは、ある出来事をきっかけに、冷酷非情な連続殺人鬼へと変貌することに。彼は、それ以降自らがたどってきた12年間に及ぶ犯罪人生の軌跡を、無作為に選んだ5つのエピソードで振り返ることにしようと、ヴァージという名の老人を相手に述懐を始める。そして、およそ常識やモラルに欠けたその話を通して、ジャック独自の常軌を逸した人間性や世界観も垣間見えることに。
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スタッフ・キャスト
・スタッフ
監督 : ラース・フォン・トリアー
製作 : ルイーズ・ヴェスト
原案 : イェンレ・ハルンド、ラース・フォン・トリアー
脚本 : ラース・フォン・トリアー
撮影 : マヌエル・アルベルト・クラロ
・キャスト
ジャック : マット・ディロン
ヴァージ : ブルーノ・ガンツ
女性1 : ユマ・サーマン
女性2 : シオバン・ファロン・ホーガン
女性3 : ソフィー・グローベール
シンプル : ライリー・キーオ
上映時間 : 151分
映画の感想(ネタバレもあります)
・R18+指定ですし、普通の人にはオススメしません
最初に、デンマークの鬼才、ラース・フォン・トリアー監督は、非常にクセの強い作品を製作する人ですので、好き嫌いがハッキリ分かれるでしょう。本作品も、過激な表現と胸が苦しくなる展開が続き、クセが強すぎるので普通の人は最後まで観る気にならないかも知れません。
題名の『ハウス・ジャック・ビルト』は、マザーグースの詩で、順番に増えていく「つみあげうた」という言葉遊びの詩で有名なようです。「つみあげうた」は、日本人であれば『これはのみのぴこ』という絵本を思い出して貰えれば分かると思います。私の場合は、メタリカのアルバム『Load(ロード)』の楽曲のほうを思い浮かべてしまいます。マザーグースの詩は、アガサ・クリスティ等もよく取り入れていますよね。
映画の内容は、童謡とは正反対の「真の悪人の話」です。前回紹介した『ジョーカー』が可愛らしく思えるぐらい、とことんまで救いようが無く魂まで利己的で背徳的な悪人が、この作品の主役であるジャックです。フィクションですが、トリアー監督がシリアルキラーを研究して得た着想等も使われているため、実際の事件を連想させてリアリティーがあります。少し、悪人に優しい偶然が多い気もしますが。。多数の殺人のなかから、5つのエピソードをヴァージという老人に語るという型式で表現され、どれも真に迫っているので苦しくなります。トリアー監督にはタブーは無いので、子どもの犠牲者もいます。でも、続きが気になって見てしまうのが、監督の凄さでしょうか。個人的な好みもありますが。。
主役のジャックは些細なことから殺人を犯し、その際に捕まらなかったことから歯止めが効かなくなり、次々と大胆な殺人を繰り返していきます。日本でも、SNSを通じて自殺希望者等を多数殺害した「座間事件」の白石も同じようなタイプだと思います。一般人のなかに混ざった、魂から腐った人が存在することを忘れないためにも、このような存在を知っておくことが必要だと思います。
個人的には、こういう悪が存在して活動するためには、人間の精神的、物理的距離が離れるほど、悪が入り込んでくると思うので、今のようなウイルスに怯えて人との距離を広げてしまう状態は危険だと恐れています。悪への警戒心を忘れないようにしたいです。
※座間事件も胸糞が悪くなる犯人でした
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出演している俳優陣も豪華でリアリティがあり、非常に考えさせられる作品ですが、内容が過激過ぎるので一般的には観られることはないでしょう。WOWOWだからこその放映ですね。やはり、入っていて良かった。
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