『ミッドサマー』のあらすじと感想
(フローレンス・ピュー、アリ・アスター、A24、サスペンス、ホラー、スリラー、ネタバレ、謎、進撃の巨人、キャスト・スタッフ、WOWOW映画)
あらすじ(公式ホームページより転載しました)
家族を不慮の事故で失ったダニーは、大学で民俗学を研究する恋人や友人と共にスウェーデンの奥地で開かれる”90年に一度の祝祭”を訪れる。美しい花々が咲き乱れ、太陽が沈まないその村は、優しい住人が陽気に歌い踊る楽園のように思えた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ダニーの心はかき乱されていく。妄想、トラウマ、不安、恐怖……それは想像を絶する悪夢の始まりだった。
※公式ホームページは下のリンクから確認できます。
スタッフ・キャスト
・スタッフ
監督 : アリ・アスター
製作 : ラース・クヌードセン 、 パトリック・アンデション
脚本 : アリ・アスター
撮影 : パヴェウ・ポゴジェルスキ
音楽 : ザ・ハクサン・クローク
・キャスト
ダニー : フローレンス・ピュー
クリスチャン : ジャック・レイナー
マーク : ウィル・ポールター
ジョシュ : ウィリアム・ジャクソン・ハーパー
ペレ : ビョルン・アンドレセン
上映時間 :148分
映画の感想(少しだけネタバレもあります)
・ホラーではないが少し怖い?不思議な北欧世界
今回はまたホラーというかスリラー映画を観ました。夏なので、WOWOWではこういったホラー系の映画が多いですね。個人的にはあまりホラー系は好きでは無い(特にスプラッター系)のですが、何故かあらすじを読んで興味を惹かれたのがこの『ミッドサマー』です。アリ・アスター監督は、「ヘレディタリー/継承」という評判の良い映画を撮った監督さんだそうです。
映画のあらすじは、上に書いた通りなのですが、付け加えるならば主人公(ヒロイン)のダニーの家族は心の病を持った妹の無理心中で亡くなっており、そのトラウマを引きずったまま旅に参加しています。また、ダニーの恋人であるクリスチャンは彼女のことを”重く”感じてきていて、2人の関係は終焉に近づいていた、というのもこのストーリー展開には重要な要素です。
・ダニー(左)、ペレ(中)、クリスチャン(右)
ストーリー展開は、スウェーデン出身の同級生ペレに誘われて彼の故郷である、スウェーデンの閉ざされた集落(コミューン)を訪れます。彼らの目的は、文化・民族的な研究と、若さゆえの放蕩な”夏の思い出”を作ろう、ということでした。初めて接する文化や美しい自然と調和した生活は美しく感じられ、若者たちは旅を満喫していました。がしかし、コミューンの独特の文化・風習が徐々に明らかになり、彼らを追い詰めていくのでした。念のため書いておきますが、このような風習はフィクションですので、この映画のような北欧の宗教は存在しない(はず)です。キリスト教以前の、原初的な宗教(ケルト神話や北欧神話、ギリシア神話等)は残酷な描写も多く、不気味で根源的な恐怖心を抱かせるイメージなのでしょう。
上映時間は、約2時間半もあるのですが、始まりこそ重たいもののスウェーデンに着いてからは何が起こるのかとハラハラしながら退屈することなく時間が過ぎました。また、”残酷なシーン”が時々あるのですが淡々と描かれていて、無理に驚かそうという感じではありません。但し、なかなかショッキングな場面もありますので苦手なかたはご注意願います。
ラストは、当然ながら賛否両論あるでしょうが、一般的な男性と自認している私の個人的な見解では、クリスチャンを赦してあげて欲しかった。。ですが、ラストカットのダニーの表情を見ると、彼女にとってはハッピーエンドだったのかも知れませんね。
映画の中で、スウェーデンの村人が「始祖の巨人ユミル」という名前を口にするシーンがあり、「進撃の巨人!?」と思って調べてみました。恐らく、考察サイトなどでは前から指摘されていたでしょうけど、私はあまりそういうサイトを見ないので知りませんでした。
意外な形で好きな漫画の元ネタ?に出会ってしまいましたので、余談ですが付け加えておきたいと思います。
「始祖の巨人ユミル」:北欧神話に出てくる原初の巨人。ユミルの身体の各所から何人もの巨人が産み出された。巨人の王となっていたユミルはオーディン・ヴィリ・ヴェーの三神に倒された。三神はユミルを解体し、血から海や川・身体から大地・骨から山などを造った。
『進撃の巨人』に出てくるユミルの元ネタは間違いなくこの北欧神話でしょう。そして、代々継承される”9つの巨人”についても、何故「9」なのか?と不思議に思っていましたが、北欧神話ではこの「9」という数字が頻繁に出てくる大事な数字だったからでしょう。ちなみに、この「ミッドサマー」でも”90年に一度の祝祭””9日間のフェスティバル””9人の生け贄”と「9」ばかりです。
もう1つ、ユミルが”巨人の力”を得るのが巨大な樹からですし、最終34巻のラストシーンにも登場する”巨大な樹”は、北欧神話の”世界樹=ユグドラシル”なのでしょう。(但し、”世界樹”という概念は北欧神話に限ったものではありません。)
●感動の最終巻もいずれレビューしたいと思っています。
※前回の映画レビューもよろしければご覧ください。
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